理事長あいさつ
理事長あいさつ
2022年に入り、国内においては、少しずつではありますが、コロナ禍は、収束の気配を見せ始めています。今年2023年3月のマスク着用の自由化、5月には第5類への見直しと、以前の生活に戻り始めている感があります。街頭も少しずつ賑わいを見せ始めるとともに、人々の顔に笑顔が戻ってきた、そんな様子がうかがえます。一方、国外に目を転じて見ますと残念ながら、ロシアのウクライナへの侵攻は、収束の気配はみせる様子はありません。侵攻が1年経った現在でも、増々激しさを増しています。5月にはG7(先進国首脳会議)が広島で開催されますが、ぜひとも被爆地広島から、核の脅威と平和の大切さを発信してほしいと願うばかりです。そして私たち自身も、平和を願う行動を実践で示していきたいと考えています。差別の最たるものは戦争ですから。
さて、プロジェクト2008(以下プロジェクト)の活動ですが、こちらも、以前の活動に戻りつつあります。なかでも、2016年から始まる若者塾が継続できたことは大きな成果です。また内容も、西条市で起こった差別事象をテーマとした第1回目、「ウクライナへのロシア侵攻」という戦争と人権を考えた第2回目の講座、第3回目「水平社宣言に学ぶ」と題し、全国水平社創立100周年を迎え、私たちは今何をなすべきかについて真剣に討論を繰り広げました。2022年度の9回の若者塾は、充実した内容で、参加者にとっては大変有意義のあるものになったと考えます。
また、今年第73回全国人権・同和教育研究大会が、奈良で開催されましたが、西条市からは若者塾で学ぶ先生が「誇りをもって生きていくために」が報告されました。そして、報告後の質疑の中で、大変重要な質問がフロアーから出されました。「語りたくても語れない、誇りを持ちたくても持てない人がいる。言える人がすべて正しいのか?言えない人は弱いのか?」それに対して報告者は、「語らないことも、その人自身の権利ではないか。自信が持てないという子どもに対して、一緒に学び続けようと伝えている。」という回答をしました。まさに、そのとおりだと思います。自己決定を大切にすることや、アイデンティティーの確立が、その底流にあることを痛切に感じました。偏見をなくし差別を解消する大きな力になるのではないかと考えます。大きな「学び」ができた報告でした。
さて、2023年はいよいよ人権啓発劇上演の年です。若者塾でも、シナリオのコンセプトや、ストーリーについて継続して、話し合いが行われました。コロナ禍で上演が延び延びになっていましたが、これまでの私たちの取組や、若者塾で激論を交わした部落問題の解決に向けた実践の方法、山積する人権問題、そして何より今年、愛媛水平社創立100周年を迎えるにあたって私たちが、どうシフトしていくのか、そんな問いに答えることができる人権啓発劇にしていきたいと、プロジェクト一同思いを一つにして制作に着手しています。
思い返せば私たちプロジェクト2008も産声を上げてはや四半世紀、新たな旅立ちの年としたいと考えています。
2023年4月
NPO法人プロジェクト2008
理事長 永井 克征
理事長挨拶